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さんざし(山楂子)とは、中国原産のバラ科の植物さんざ(山楂)の実のことです。

 

 主に中国中南部に分布し高さは約1.7メートルほどの低木です。日本では活花などに用いられることも多く、庭木として庭園などでも栽植されています。葉っぱは互生し、くさび形で表面は濃緑色で薄い毛が生えています。毎年4月~5月ごろ、枝先に散房花序(さんぼうかじょ)を出し、直径2センチほどの白い花を咲かせます。9月ごろになると直径1.5センチほどの球形の果実をつけ、熟すと黄色から赤色に美しく色づきます。

 



中国では古くから果実だけでなく葉や木も漢方薬として用いられ、その効能は幅広く様々な書物にも記されています。近年ではその含有成分からも現代病予防に役立つ働きがあるとして様々な分野で注目され、特に血液の働きを助けることからも薬用果実としての位置づけが明確なものとなってきました。

 今からおよそ400年前の有名な薬物書「本草綱目(ほんそうこうもく)」は今日でも読まれている書物ですが、この書物にもさんざしのことが次のように書かれています。

 「煮汁を服せば水痢を止める、頭を沐し身を洗えば瘡癢を治す、煮汁で漆瘡を洗えば多くは瘥える、腰痛を治するに有効である、食積を消し、脾を補し、小腸疝気を治し、小児の瘡疹を発する、胃を健にし、結気を行り、婦人産後の兒枕痛、悪露の盡きぬものを治す、煎じた汁に糖を入れて服すれば立ちに効がある、飲食物を消化し、肉積癥瘕、痰飲痞滿、呑酸、滞血痛脹を消す、血塊、気塊を化し、血を活かす」 …云々とあります。





2000年以上の歴史をもつ漢方薬は、およそ100年前から進歩した物理、化学、医学によってその有効成分や人体への作用などが科学的に解明されてきていますが、歴史の面から考えても当然すべてが解明したわけではなく、過去から現在、さらに未来へと研究が続けられています。

 古来の生薬への発想は、当時は成分構成などを分析することの不可能な時代において、ひたすらどのような効果があり、どのような害があるのかを徹底的に実用を中心に検証し、経験でのその効能を中心に論じてゆく卓抜した発想法でした。

 近年の医学ではいまだその効能への根拠が科学的に解明されていない漢方薬にたいして、歴史上の経験に対しての理解が強まっています。

 現代医学の現場でもアダプトゲンという概念をもって取り組む姿勢が見られ、毒性(副作用)がないこと、作用が特定の臓器に限定されていないこと、正常化作用をもっていることを条件に新たな治療薬への発想を可能にしています。

 これは、病気の原因や科学的根拠がわからなければその原因に対しての治療が行えないといった対症療法しか考えられなかったふるい西洋医学の反省から生まれたものです。

 これに対して東洋(漢方)医学では、抽象的ながら2000年も前からアダプトゲンの概念が存在していました。

 現代医学において、科学的な根拠と同時にその効果と働きの検証が行われます。この検証こそが「臨床」であり、アダプトゲンの証明につながります。

 現代医学の臨床試験の結果においても、漢方薬がこの条件を満たすものとしての効能を認められてきています。

 そういう意味からすれば、漢方の世界では「上薬」に位置する山楂子は、アダプトゲンである優れた生薬のひとつといえるでしょう。



 <参考文献>
 近畿大学東洋医学研究所講師・医学博士 今西 義則 著 「山楂子の薬効」 ほか